なんだかあっという間に夏が過ぎちゃって、秋の気配がやってきています。
でもちゃんと、今年も暑い熱い夏をキチンと送ってきました☆
photo by. noa
(保土ヶ谷キャンドルナイト2013、今年は風に泣きました〜)
その後の記憶はございません!状態な日々を送っておりました彩詠です。
そろそろ、夏の宿題を提出しないと…ってなわけで。
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「なれずし」ってご存じですか?
熟れ鮨(鮓)、馴れ鮨(鮓) と書きます。
魚+塩+ご飯 →(乳酸発酵)→ 熟れ鮨(鮓)
こんな感じで出来上がるお鮨の原型とも言われるもの。
彩詠の地元は、長良川の鮎が名物のところ。
ここでも鮎の熟れ鮨が作られています。
鮨というよりは酒のアテにぴったりのしょっぱさと酸っぱさに米の甘みが絡んでいる珍味。
ちびちびとご飯のアテに、お茶漬けのアテに、もちろんお酒のアテに、実に美味なるオトナの味です♪
実は鮎の熟れ鮨はそれほど知名度も高くなく、熟れ鮨といえばお隣の滋賀県は琵琶湖の名産、フナの熟れ鮨の印象が強いモノ。
しかーし、熟れ鮨を食べたことがある人に聞くとイマイチよい印象を聞くことなく、
「あのクサイもの」
で片付けられちゃうこと多いんですよねぇ。
好きな人は、好きらしい。
昔から「ご馳走」として、ハレの日のお膳に欠かせないものです。
(そういえば、昔祖父が滋賀の親戚宅の法事でお土産に持ち帰ってきてたなぁ、でも食べたことない)
味噌を仕込み、日々塩麹で肉の変化を楽しんでいるので、最近ますます発酵モノが愛おしい。
というわけで、今まで出会ったことがない「発酵」に出会うため、暑い夏の日、余呉湖湖畔へ行ってきました!
これ。
鮒のなれ鮓。
この1〜2mmに切られた切り口の美しさ!
タラリの添えられた自家製の蜂蜜。
どんな匂いを想像するでしょうか?
やっぱり、クサイ?
これがとびきり食欲というかお酒に手が伸びる芳しい香り。
美しく仕上がったモノは、どこをとっても美になる。
発酵と腐敗は紙一重であり、全く違う。
発酵の美。
そんなことを感じた瞬間。
もちろん、強い発酵臭のする昔から家庭でも作られてきたモノもちゃんとした熟れ鮨。
違うのは、食のプロの素材の見極めと手間の掛け方、食し方。
鏡湖と称される余呉湖で健やかに育った天然のニゴロと呼ばれる鮒を使い、職人技の下処理、絶妙な干し、ご飯を詰め重ねつけ込み、熟成度合いの見極め、などなど。
話を伺っていると、それはそれはまねできない職人の技と自然への感謝が詰まっていました。
鮒を食べた記憶ってない気がするので、鮒自体の味がどんなのかは???ですが、きっとこれが凝縮された味。
そして漬かった鮒はもちろんのこと、何より私が強く惹かれたのは周りの飯(いい)と呼ばれるご飯の部分。
鮒が塩と出会った旨み、タンパク質が分解されてアミノ酸の旨み成分が存分にゆきわたった飯は、実は鮒は飯をより進化させる為に添えられたモノなんじゃないか…と感じるくらい、飯にガツンとやられました!
事実、飯はとても栄養価も高いとか。
女将さん曰く、とてつもなく疲れた晩に飯を少し口にすると、翌日には復活出来るとか。
そんな飯で作られた最後の〆のアイスクリーム。
献立の半ばには、鯖のなれ鮨も登場。
岡山の吉田牧場のカチョカバロチーズとトマトソースで出会い。
発酵×発酵は、トマトの爽やかな酸味でうまーくまとまり、食べたことがない味へ。
田んぼと畑と山、水辺、無人の駅。
刻々と変わる湖畔の色、真っ暗な夜。
もう、四半世紀も昔、夜の肝試しのように皆で来たことがある風景は、そのままそこにいてくれた。
ありがとう。
ここでしか出会えないモノ。
まだまだ続きます ^^